第98回日本脳神経外科学会中部支部学術集会

第98回日本脳神経外科学会中部支部学術集会会長　　　　宮地　茂
（愛知医科大学脳神経外科　主任教授）

令和２年（2020年）9月19日（土）に第98回日本脳神経外科学会中部支部学術集会を開催させていただきました。新型コロナウィルス第一波の感染によるイベント自粛の影響で、金沢で4月に開催予定であった本来の第98回学術集会は、順延された７月でも通常開催は不可能ということで中止となり、９月に私共が予定していた第99回を、第98回として引き受けることとなりました。
本会は、医育機関および第一線の臨床の場で活躍する中部地方の脳神経外科医師、研究者などが集まり、最新の臨床的知見を発表、討論し、情報交換を行う会であり、face to faceでdiscussionできるところにat homeな本会の良さがあるとの思いから、当初は会場として予定していた名古屋市栄のデザインホールでの通常の学会形式と、リモートのWeb会議システム(Zoom)を組み合わせたハイブリッドの開催を目指しておりました、しかしながら、全国的に新型コロナウィルス第二波の爆発的な感染拡大が起こり、愛知県においても緊急事態宣言が出されるという危機的状況となりました。県外移動や集会参加も認められない施設も増えており、現地会場での開催は無理と判断せざるを得なくなったため、通常の学会形式の開催は中止とし、インターネットを介したオンライン開催のみとさせていただきました。演題発表につきましては“密”なプログラムを避け、金沢で発表予定であった演題のうち、本会への移動をご了解された31演題のみとして新たな演題募集はせず、その代わりにエキスパートによるキーノートレクチャーを挟むような従来とは異なる教育的な構成にさせていただきました。また中部支部会長の名古屋大学名誉教授の若林俊彦先生による退官記念講演に加え、新しく教授にご就任された信州大学の堀内哲吉先生と、浜松医科大学の黒住和彦先生には、ご専門領域の教育講演をしていただきました。会の詳細は下記リンクよりホームページをご覧ください。本会終了後に、引き続きオンラインで第34回中部神経内視鏡研究会と第4回愛知県血栓回収療法教育セミナーのケースカンファレンスが行われ、活発な討論がおこなわれました。ます。一方、第42回中部脳神経外科看護セミナーも今回併催される予定でしたが、看護関係の全国学会が全て順延となったため、中止とさせていただきました。翌日に予定しておりました市民公開講座も、市民参加の大型イベントはまだ自粛中ですので中止とし、You Tubeでの配信とさせていただきました。いろいろと予定していた企画も中止せざるをえず、会員の皆様に名古屋でお会いすることもかなわなかったことは、個人的には大変寂しく感じました。
運営に関しては、ハイブリッドでもない、初めての完全なリモート形式であったため、今夏の様々な学会の運営を参考にしながら、暗中模索の状態で準備をしてまいりました。前日には接続のリハーサルも行いトラブルに対する備えはしてきたつもりではありますが、やはり配信トラブルや、音声の不具合など、色々思いがけないアクシデントもありました。またやはり会場での雰囲気と異なり、発表が一方的で単調となり、質問、コメントがしにくい環境を作ってしまったこともやや残念でしたが、それでも大きな遅れもなく、なんとか最後まで辿り着くことはできました。若林俊彦先生、堀内哲吉先生、黒住和彦先生には心に残る素晴らしいご講演をいただきました。キーノートレクチャーも皆様大変しっかり準備してこられ、プレ専門医ばかりでなく、専門医のブラッシュアップにもなりました。全体として参加者262名という全面WEB学会としては予想以上の参加をいただきました。ご講演いただいた皆様、また司会や採点の労をお執りいただいた理事、座長の皆様には心より感謝申し上げます。
一方、Web視聴という新しいスタイルは、会場での臨場感溢れるやりとりができない代わりに、気軽にアクセスでき、しかも視聴する時間や場所、また格好まで自分の自由に選択できるという気楽さがあり、これに慣れてしまうと、今後、コロナ禍がおさまってもハイブリッド開催となる可能性もございます。私は今回の会が終わった今でも、個人的にはやはりface-to-faceが懐かしいのですが、これも時代の変化でしかたないのかもしれません。大変不規則でunusualな本会が無事終了できましたのも、皆様のご支援のおかげと、改めて感謝申し上げます。

第98回日本脳神経外科学会中部支部学術集会のホームページはこちら