第28回日本血管内治療学会
(2022年6月24日、25日)
2022年6月18日 掲載
会長 宮地茂
この学会は、血管外科、循環器科、脳神経外科、放射線科などの異なる専門領域から血管内治療を志す医療者が一堂に会し、診療科を超えた討論を行う目的で設立されました。第1回学術総会は、平成7年7月に神戸大学心臓血管外科の岡田昌義初代理事長のもと阪神淡路大震災直後の神戸で開催されましたが、傷跡の生生しい中で復興への強い決意をもって催され、大変印象深く、また強烈なインパクトのある船出でした。その後四半世紀に渡り主要4領域の先駆者たちにより、年次集会が脈々と引き継がれてきております。令和元年には、コンプライアンス重視やガバナンス強化が重要視される社会変革に対応するため、一般社団法人血管内治療学会として再出発を遂げました。
この会の主幹は上記の4部門の中から持ち回りで行うことになっておりますが、第28回大会の主幹を拝命することとなり、身に余る光栄であると同時に、責任の重さを痛感しております。今回主催校である愛知医科大学は、幸い上記4領域全てで血管内治療が充実しており、血管内治療センターの中で毎日盛んに治療が行われております。私ども脳神経外科以外の各領域の教授の先生方(血管外科: 石橋宏之教授、循環器内科:天野哲也教授、放射線科:鈴木耕次郎教授)に副会長としてご協力いただけることになりましたので、オール愛知医大で望みたいと思っております。
コロナ感染がおさまってくれていることを祈りますが、コロナ禍で確立された(?)オンライン形式の利便性から、従来の開催様式にもどることは困難かと思われますので、ハイブリッド形式で行うように準備を進めております。
テーマは
「血管はどこもつながっている でもドコが違う?」
という非常にシンプルなものにしました。従来「協調」「未来」「進歩」などのキーワードが入ったかっこいいものが多いのですが、すでにほとんど使われてしまっていることと、この学会の目指すところや疑問点はこれに集約されるのではないかと思い、あえて口語体のテーマとしました。また、ポスターですが、背景としてご当地を潤している木曽三川(木曽、長良、揖斐川)をモチーフとしております。左は江戸時代の宝暦治水前の河口の様子で、3つの河川が自由に合流したり中洲を作ってまた分離したりという無秩序な状態であったために、しばしば大きな洪水が起こり住民を苦しめました。右図のように明治以降の大規模な治水工事の結果、現在はそれぞれの川は河口まで分離され、固有の流域を持つこととなりました。これは血管内治療が始まった黎明期は、共通の限られたデバイスで苦しみながら行っていたものが、各科が独自の発展を遂げて一本ずつの流れとして確立してきた我々の歴史に似ています。しかし高い堤防で分離されたためにそれぞれの川の様子は窺い知ることができなくなってきました。そこで、今回のテーマでは、4領域がお互いに意見交換して、良いところをとりいれられるような企画としました。まさに領域横断的学会の利点を最大限生かせるような複合的プログラムになっております。
セッションは共通の話題の中で、違いや共通点を確認しあえるような内容にしております。それ以外に「我々のデバイス・技術はココがすごい!」という特別企画を設け、普段知らない他領域の機器や技を披露して自慢し合う(コンテストではありません)セッションを作り、お互いに勉強したり応用したりするきっかけにしたいと考えております。さらに血管の中にデバイスを入れるという近似した治療をまさに隣同士で行なっているのに、お互いよく知らなかったり、興味はあるのに聞けなかったりと言うような基本的な疑問について、各領域のエキスパートから解説していただく機会も設けました。その他本学会ならではのいろいろなコンテンツも企画しております。詳しくは開催概要をご覧ください。皆様の記憶に残り、かつためになる有意義な学会となりますよう、しっかり準備していきたいと思います。皆様のご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。