機能外科チーム
愛知医大機能チームの挑戦
2020年4月より愛知医科大学脳神経外科に機能チームが発足しました。機能チームでは脳深部刺激術をはじめ、水頭症に対する診断治療、てんかんに対する外科治療等、幅広く機能外科領域の診療を行っています。当グループの特色は愛知医科大学病院のパーキンソン病総合治療センターの教員となることで、脳神経内科と協力してパーキンソン病の包括的治療を実現可能にしています。治療の進歩によってパーキンソン病患者さんの寿命は飛躍的に長くなり、一般人口の方とそれほど変わらなくなっています。一方で、ふるえや動作の鈍さ、歩きにくさによる日常生活動作の不自由さは、必ずしも十分解消できていません。症状を抑えてなるべく不自由なく暮らすためには、薬剤を適切に組み合わせる必要があります。また、病状によっては脳深部刺激療法などのデバイス治療(医療機器を用いた治療)を適切なタイミングで組み合わせることが、よりよい経過をもたらします。これまで我々はパーキンソン病患者さんに脳深部刺激療法を行い、良好な成績を得ています。今後もさらにデバイス治療の増加が予想されており、東海地区における当院パーキンソン病総合治療センターの役割はさらに重要になってくるものと思います。スタッフ一同、患者さんに安心して治療を受けていただけるように丁寧な診療を行ってまいります。
また当グループでは特発性正常圧水頭症の診断、治療を積極的に行ており、近隣の医療施設様より数多くの患者様をご紹介いただいております。本邦でも高齢化が進んでおり、正常圧水頭症は今後も増加することが見込まれます。水頭症の症状は歩行障害、認知機能障害、尿失禁が主な症状でありますが、適切な時期に水頭症手術(シャント手術)を行うことで症状の改善が得られます。実際、繰り返す転倒を契機に水頭症が発見されることもしばしばあり、シャント術を行うことで歩行がスムーズになり転倒しなくなったと患者様より喜びの言葉をいただきます。また簡便に特発性正常圧水頭症が診断可能となるような方法の開発を行っており、研究成果を発信しています。
てんかん外科については当院のてんかんセンターとの協力体制の下、迷走神経刺激術を行っております。難治性てんかんに対する迷走神経刺激術の位置づけは根治術ではなく緩和医療となりますが、手術侵襲が少なくてんかんの病型を選ばないため選択される患者様も増加しております。当院では適応を十分に検討し、患者様とよく話し合った上で迷走神経刺激装置の埋め込みを行っております。
最後にニューロモデュレーションはパーキンソン病をはじめとする運動障害疾患のみならず精神疾患、てんかん、認知機能障害など様々な疾患で大変期待されている治療手段であり、国内外で活発に研究が行われています。当院でも新しい治療を積極的に取り入れ、難病でお困りの多くの方々に最新の治療が提供できるよう日々精進しております。